電気グルーヴがYoutubeでイタロディスコを紹介

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電気グルーヴのピエール瀧氏、石野卓球氏が出演しているこのビデオ。イタロディスコ & ルーツ・ハイエナジーと題して、イタロディスコ、ハイエナジーを紹介している番組です。日本語の映像媒体でイタロが紹介されているのはかなり貴重というか、この番組以外にあるのか?と言いたくなるくらいのレベルですので、イタロ好きな方はご覧になってみるといいです。

ただ、この番組は正直、突っ込みどころもあります。番組中で石野氏が楽曲を紹介しているんですけど、どうやら彼は「イタロディスコからハイエナジーが生まれた」みたいな認識のようなんですけど、これって思い切り間違いだと思います。(2:10)
私の認識は、70年代末にアメリカ、カナダ、イギリスのゲイディスコがハイエナジーに変わり、同時期にゲイディスコをベースにしてイタロディスコも生まれ、相互に影響し合いながら80年代後半まで曲が作られていった、というもの。
ところが石野氏は「イタロディスコは80年代前半から半ば」で「のちに」「それがハイエナジーとなり」と発言。
「おいおいおいおいおいおい!!!!」 ハイエナジー好きは人はここで突っ込みますよねw
1980年〜1982年のハイエナジーもあるのに、なくなっちゃったよ、否定だよ! とw
ハイエナジーを語る上では絶対外せないボビーOは1982年にハイエナジーのリリースを始めているし (楽曲のライセンス表記は1981年の場合もあるので、81年に制作開始の可能性あり)、
これまた外せないカナダのハイエナジーユニット LIME は1980年にYour Loveでデビュー。
ほかにも調べれば、80年、81年のハイエナジーというのは出てくるものなのです。ちょっと調べればイタロ→ハイエナジーって認識にはならないはずなんですけど…。
「番組的に分かりやすくするために〜」とかだったら、誤解を生むのでやめてほしかったです。

あと残念なのは「ロシアのイタロディスコとは言わない」って発言。(27:08)。 いいえ、言います。言ってOKです(番組で氏が思い浮かべていた作品に適当かどうかは別として)。イタロディスコは「イタリア風のディスコ、イタリアスタイルのディスコ」って意味もあるので。そもそもイタロディスコという言葉を作ったのはドイツのZYX Recordsのオーナーであり、同社のコンピレーションシリーズ The Best Of Italo-Disco。このシリーズにはドイツ、オランダやスペインの「イタロディスコ」も収録。CDジャーナルのイタロディスコの解説では The Best Of Italo-Disco のジャケット画像を載せながらも「“イタリア産”ディスコ・ミュージックを指しております。」なんて書いちゃってる滑稽な事にもなってますが、非イタリアの「イタロディスコ」は別におかしくないのでご注意を。

その後、石野氏はイタロディスコじゃなくてハイエナジー、と言い直しているんですけど、これも残念。非イタリア産のイタロディスコを言い直すならハイエナジーではなくユーロディスコでしょ!と思うのでした。

…とまあ、いろいろ突っ込んでみましたが、いかがだったでしょうか。細かい事いろいろ書いてしまうのも、このジャンルを愛するが故とご理解いただければ幸いです。過去には「イタロディスコ「再評価」の弊害」って記事も書いていて、今回と被る面もあるのでお時間があればご覧ください。

長くなりましたが、今回は以上。 ではではー。

電気グルーヴがYoutubeでイタロディスコを紹介” への4件のコメント

  1. 1.イタロディスコ=イタリア産のディスコだと俺は解釈しているけどオランダのLaserdanceやドイツのMike Mareenといったアーティストもイタロになっていたりするんだよなー・・・ (海外のコメントを見るとユーロディスコに入るとかいろんなコメントがあるし) 

    イタロディスコやユーロディスコ、ハイエナジーといった「ユーロビート」のライン具合が分かりづらいから単純に分けるには難しいジャンルだと思いました。

    2.あまりここで書くのは良くない話だと思いますが、ピエール瀧氏の逮捕は非常にがっかりです。イタロディスコを日本のアーティストが紹介するのはなかなかないので特集の続編は出ないかと期待してました。せっかく独自のワールドを築いてきたのに一瞬で崩壊してしまった・・・ ああもったいない。

    コメントをお読みいただきありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。

      1. ジャンルの解釈については、大まかな広義と、厳密な狭義があります。厳密に定義すれば、もちろんイタリア産のみになります。すなわち狭義。しかし、実際には大まかな広義でもイタロディスコという言葉は使われています。その分かりやすい例がZYXなどのコンピに入っている非イタリア産イタロディスコなどです。

      非イタリア産でもイタロディスコと言えるか? その答えはYES。イタリア風ディスコ。ただし厳密な定義ではない。が、私の考えです。

      Laserdanceは厳密に言えば、イタロディスコ派生ジャンルであるSpacesynth(以前はSynthesizer Danceと呼ばれていましたが今はSpacesynthの名の方が定着していますね)。初期の作品は古典としてSpacesynth Classics。
      ただ、イタロディスコ・コンピに入ることはありますし、その場合はインストのイタロディスコというスタンスで収録されていると思います。
      Spacesynthはイタロディスコの一部、という考え方もできるでしょう。ZYXのSpacesynthコンピは、ZYX Spacesynthではなく、ZYX Italo Disco Spacesynth Collection。まあ、これは商業的な意味合いのネーミングだとも思いますが。

      Mike Mareenは完全にユーロディスコですが、彼の作品がイタロディスコ・コンピに入ることは珍しくなく、広義ではイタロディスコに入ると思います。

      おっしゃるように分けるのは難しいです。アーティストによっては特に(簡単に定義できるアーティストもいますけど)。例えばオランダのDigital Emotionとかは定義が難しい。オランダ産なのにハイエナジー的作風。だからユーロディスコもイタロディスコも完全にしっくりこない。DiscogsでもDigital Emotionに関しては解釈がバラバラです。

      2. この記事で紹介しているビデオは本文にもありますように貴重であることは確かで、続編があったならそれはそれで良かったと思いますが、現状では、まあ、無理になったでしょうね。ビデオも見られなくなっていますが、いつから見られなくなったのかな。今回の事件以降なのでしょうか。

  2. エイベックスがザッツユーロ一桁前半に入ってるような曲を後にハイエナジーと一括りにしたあたり、日本だけの独自解釈が蔓延する発端になったのではないかと前から思ってますが、さて・・・!?

    • 石野氏の解釈はエイベックスなどの「日本だけの独自解釈」ともまた異なった奇妙な解釈なんですよねえ。

      旧来の日本独自解釈だとイタロディスコという概念がないから1980年〜ユーロビート開始直前、はハイエナジーで、それ以降はユーロビートという解釈で、この解釈をする人は1980年前後にハイエナジーがあった事を知る人が多いですし、その時期の曲がお気に入りの人も多い。

      ですが、イタロディスコからハイエナジーが生まれたかのような解釈をビデオで語る石野氏は、1980年前後にハイエナジーがまだなかったと思っているようにも見えます。(PWLプロデュース時代のDIVINE, DEAD OR ALIVE ぐらいからハイエナジーとでも思ってる?)

      以前「イタロディスコ「再評価」の弊害」でハイエナジーをイタロディスコ扱いしてしまう再評価組の存在を書いた事がありますが、石野氏もそのパターンなのかな…? BOBBY O や LIME をイタロディスコと勘違いしているでしょうか…。そう考えれば解釈の奇妙さのつじつまは合います。まあ、真相はご本人しか分かりませんが。

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